宮下奈都さんのエッセイ『ワンさぶ子の怠惰な冒険』を読了しました。
今回のエッセイもすごく良かったです。宮下家と愛犬『ワンさぶ子』の日々の記録。すごく癒されました。ワンさぶ子、かわいい。宮下さんって小説もいいけどエッセイもものすごくいい。今回も幸せな気持ちになれました。寝る前に読むのがオススメかもです。1日の終わりに少しづつ読んでほっこりして眠りにつく。おかげさまで、毎日とてもいい夢が見られました。
以下感想です。
「子供は勝手に育つ。むしろ親は子供に育てられる」
という考え方で、子供の自主性に任せている宮下さん。たとえ子供が失敗してもそれも貴重な経験なんだと。子供のことを信頼しているんですね。そして子供も親のことを信頼している。素晴らしい関係。すぐ子供に口出ししたくなる僕。子供のためを思って、は親のエゴかな。見習って息子のことを信頼して見守るようにしたい。
宮下さんの家族は、読んでいて温かくてほっこりする。おおらかで優しい宮下さん。仲の良い子供達。マイペースな夫。
対して僕は、会社でせかせか働き、人間関係はギスギス。それを家庭にまで持ち込んでしまうことがある。宮下家のように、もっと人間らしくゆったりと生きていけたらな。
主役(であるはずの)宮下家の愛犬「ワンさぶ子」。ワンさぶ子目線による宮下家の描写「ワンさぶ子のおやつタイム」に癒されます。人間の諸々の事情を知らないワンさぶ子。
「人間って大変だな、もっと楽に生きればいいのに」
「主役なのに出番が少ない」
とか呟くのがお茶目でかわいい。
自分や自分の家族について客観的に観察する。それを犬目線で描写しワンさぶ子に語らせるのが面白い。自分は今はペットを飼ってないけど真似してみたいな。この本を読んでいると、もっと楽に生きていいって思える。仕事よりも家族を優先すべきだと。
毎日散歩するワンさぶ子と宮下さん。様々な人や犬に遭遇します。通常の登校時間より遅れて1人トボトボ登校していた少年の話が妙に気になりました。今は楽しく学校に行けているかな?人生苦あれば楽あり。これから楽しいこといっぱいあるし、助けてくれる人も出てくる。少しでも前向きに生きていってほしい。
まるで、「宮下さんの小説」のように優しい日々が続く宮下家。ですが最後の3ヶ月の展開にビックリ。自分の父の時のことを思い出し、涙が出てきました。事実だけど物語を読んでいるかのよう。そして、本の最後はとても温かな気持ちになれました。
このエッセイで、ものすごく気持ちが揺さぶられた部分があります。それは、息子さんが宮下さんに言った言葉です。
『もしも自分に何かあったとしても、今ちゃんと幸せだだから最後まで幸せに暮らしていたと思ってくれたらいいよ』
素晴らしすぎる言葉。お互いに家族を信頼して尊重する宮下家ならではですね。
僕のつたない文章では伝えきれないとってもやさしい気持ちになれるエッセイです。
家族の尊さ。
日々の何気ない幸せが大事なんだな。
そして、ワンさぶ子のお茶目な描写もホントに魅力的。
宮下奈都さんの小説や物語は、とても幸せな気持ちになれます。
心が疲れたら、また再読したいと思います。