迷色まくるの巡礼の日々

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読書感想文『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦 著 

【はじめに】

夜は短し歩けよ乙女

人から勧められて読みました。実は前から気になっていた本書。「黒髪の乙女」と「乙女に恋する先輩」が主人公(名前は出てきません)。それぞれの視点からそれぞれの頭の中身が文章化されてます。とても愉快な物語で、数ページに1回笑わせられました。期待以上の面白さで大満足した。

 

【感想】

一番の面白ポイントは魅力的な登場人物です。中でも主人公の2人について。以下に記載します。

 

・黒髪の乙女

とにかくかわいいです。天真爛漫で考え方が世間とのズレていて。好奇心旺盛さと怖いもの知らずの行動力。緋鯉の作り物を背中に背負って学園祭を練り歩く姿を想像しキュンとなります。乙女の愛のある「おともだちパンチ」を受けてみたい。親指を拳の外に出して招き猫のような手で繰り出すパンチ。最初にインパクト受けたなあ。そのネーミングセンス。一度聞いたら忘れられない。

・乙女のおもしろフレーズ

「ああ神様、そんなにもパンツを穿き替えない向こう見ずな彼をお守りください。色々な下半身の病気から!」

これは、恋の願掛けにのためパンツを履き替えない「パンツ総番長」のために乙女が神様にお願いしてます。なんて優しいのでしょう。

 

・先輩

とにかく思考や行動がウケる。恋に臆病でかっこつけ。考えすぎて外堀ばかり埋め、決定的な行動に出ない。若者の苦悩が詰め込まれている。若い頃の俺を見ているよう。いや、俺の場合は今もか。。なので、先輩にはメチャクチャ共感した。と同時に、自分の不甲斐ないところについて、本に指摘されてしまったのである。「彼女の存在に己の空虚を埋めんとする」というところとか。

 

・先輩のおもしろフレーズ

「彼女の後ろ姿に関する世界的権威といわれる男」

「諸君、異論があるか。あればことごとく却下だ」

「人事を尽くして天命を待つ」人事を尽くしまくった先輩のひとこと「そろそろ天命欲しいな」

「せめて後者がいいな」

「永久外堀埋立機関」

 

先輩が一生懸命外堀を埋めている(と思っている)のに、乙女にはあまり効果がないのがとても滑稽。でも、自分と重なるからちょっぴりココロが痛い。

 

乙女と先輩。先輩が外堀を埋め続けても乙女には響かない日々。でも、物語が進むにつれ様々な事象が絡んでいって。。。その具合が読んでいてとても楽しかったです。

 

・その他のキャラも超魅力的。

樋口さん、羽貫さん、東堂さん、李白さん、パンツ総番長、詭弁論部の皆さん、閨房調査団のみなさん。みんな、悩みはあるが本能のまま自分を全面にさらけ出して生きてる。とても魅力的。自分も欲望をさらけ出して生きてみたい。うらやましいです。読んでいてとても愉快でした。

 

・その他

この本は、おもしろフレーズがてんこ盛り。少しふざけていて、でもセンスのあるフレーズたち。どうしてこんなことがこんなにたくさん思いつくの?数ページに1回笑わせてもらいました。普段からこんなことばかり考えているの?他の作品ではどうなのだろう?すごく気になります。

 

あと、文章がとても古風。夏目漱石の坊ちゃんを想像しました。小説の舞台について、最初、大正時代かと思ってました。途中、1回だけ携帯電話が出てきて現代の話なんだとわかりました。現代を思わせるワードが数えるほどしかなく、それらがなければ昔の物語といっても通じそうです。

 

もう1つ。「布団の中でジョニーを宥める」この小説でジョニーの意味を始めて知りました。波乗りジョニーとかもそういう意味で使われてたのかな??

 

おもしろフレーズは日々の生活で使いたくなる。異論はあるか?あればことごとく却下だ!とか。そろそろ天命欲しいな。とか。

 

 

【まとめ】

メチャクチャオススメです。森見登美彦の他作品も読みたい。余談ですが、自分はしばらく読書から遠ざかってました。でも最近、読書の楽しさを思い出しました。自分にとって読書って大切な趣味であり癒しだったのです。1日30分、読書時間を確保し、じっくりゆっくり読んでいきたい。感想などメモしながら。そのほうが記憶に残るし長く楽しめる。読書って楽しいですね。最高の娯楽です。面白い本に出会えて幸せです。