迷色まくるの巡礼の日々

迷色まくるの巡礼の日々

1日1000文字15分で

博才を持たない迷色まくると、彼の巡礼の日々

1

迷色まくるは大学1年の時からほぼ毎日競艇のことばかり考えていた。

初心者の頃はそれなりに的中し、日によって勝つこともあれば負けることもあった。

彼は孤独を好み、競艇場にもほとんど1人で赴いていた。

彼にとって競艇場は自分の居場所であり、そこで過ごす時間は特別なものであった。

嫌な事があっても競艇場へ行けば気持ちは晴れた。

競艇によって気持ちの調和をとっていたのである。

であるから少なくとも彼の中では各競艇場とはうまく付き合っているという自覚があった。

ある時期までは。

2

彼は、ある時を境にから各競艇場からソッポを向かれてしまった。

舟券が全く当たらないのである。

時代は2連単主流から3連単時代へ。

現場観戦からネット投票へ。

そんな環境の変化についていけなかった。

それらの変化は彼の舟券選択に確実に悪い影響を与えていた。

3

このまま競艇から離れていくことも考えた。

舟券が当たらないという事実から目を背けて。

事実、彼はしばらく別の趣味に没頭し、競艇とは距離をおいていた。

とある女性ヴォーカルユニットの歌声に惹かれ、ライブ鑑賞のために彼は全国各地へ赴いた。

彼の小遣いのほぼ全ては、彼女たちのBDやグッズ、ライブチケットに費やされた。

彼の興味は完全にその歌姫達に向いており、彼女たちの歌声によって彼の心の調和は保たれていた。

4

しかし、彼が大切にしていたその心のよりどころは、「大人の事情」により失われてしまった。

それは唐突に、また一方的に。

(そしてその要因については今も不明のままである)

5

彼は混乱した。

気持ちの区切りをつける間もなかったのである。

心の均衡を保てなくなってしまった彼は、他の趣味を探した。

ジムで走ったり読書したりピアノを始めたり。

しかしどの趣味も彼の心を埋めることができなかった。

彼の気持ちは、巡り巡って競艇に戻ってきた。

やっぱり競艇が大好きだと。

うまく付き合っていきたいと。

6

競艇に戻ってきた彼であるが舟券は当たらないままである。

なぜ自分の舟券は当たらないのだろう。

その謎を解くため(舟券修行のため)全国の競艇場(競艇ダンジョン)に旅に出ることを決めた。

この物語は、迷色まくるが以前のように競艇とうまく付き合い、また心の調和を取り戻すため、彼の巡礼の日々を綴ったものである。